金沢大学人間社会学域国際学類金沢大学人間社会学域国際学類

地域研究系

日本を含む世界各地域についての深い理解を基礎として,世界の多様性に対応できる国際人を育成します。対象地域の相違に基づく,英語圏研究,英語圏研究E,ヨーロッパ圏研究,アジア・日本研究,の4プログラムがあります。

英語圏研究プログラム/同Eプログラム

英語圏世界を横断的に学び,異文化間を架橋する

国際語としての英語を用い,さまざまな国や民族の人々とやり取りする機会がますます増えています。広い「英語圏」を横断的に学ぶことで,異文化間コミュニケーションに必要な知識と能力を磨き,国際社会の変化に柔軟に対応できる人材の育成を目指します。

プログラムの理念・教育目標

歴史学,文化人類学,および文学・文化研究の立場から,英語圏世界について横断的かつ深い知識を身に着けます。英語運用の実践的訓練を兼ねた演習形式の授業を通じ,英語圏の歴史,社会,文化を分析し,多様な文化的背景を持つ人々との共生を目指す国際人に必要な知的基盤と能力の修得を目指します。

教育内容
1年次 共通教育科目,国際学入門・同E,日本文化・同E
2-4年次 研究指導,米英研究,米英政治・外交論,米英メディア文化論,英語圏文化論等の専門教育科目,海外語学研修,派遣留学,特定の課題についての深い学びから卒業論文へ
取得可能な資格
学士 国際学
資格 中学校教諭一種免許(国語,社会,英語),高等学校教諭一種免許(国語,公民,英語),日本語教育専攻資格
プログラム内履修システム

複数のプログラムを横断して学ぶ2年次は,本プログラムの基礎科目である「英語グローバルトピック」や「米英文化関係論」などの受講を通じ,英語運用能力と国際社会をめぐる基礎的な知識を身につけます。他文化についての知見を広げるとともに,自文化の相対的な理解を深めることも目標の一つです。また,短期の語学研修などを活用し,英語圏社会を集中的に体験し,異文化交渉力を身につけます。

3年次からは,「米英研究」,「米英メディア文化論」,「米英政治・外交論」,「英語圏文化論」など,多岐にわたる専門科目を履修しながら,自らの進路を主体的に決めていきます。また,半数程度の学生は派遣留学に出ます。卒業論文は,これらの学びから立てた問いを,理論的かつ実証的に解明し,世界に対する理解の幅を広げることに貢献します。

プログラムの特徴的な科目
「米英研究」
(2〜4年次)
米英の文化や社会・政治問題からトピックを選び,歴史学,社会学,文化研究等の観点から考察します。
「米英メディア文化論」
(2〜4年次)
クィア・LGBT映画の歴史を中心に,身体・人種・セクシュアリティなど様々な差異と共通点について映画分析を通じて分析する力を養います。
「米英政治・外交論」
(2〜4年次)
政治・外交・経済という観点から米英関係の歴史を考察します。
「英語圏文化論」
(2〜4年次)
年度毎に決める特定の観点から,英語圏の文学・文化テクストを分析し,議論します。
プログラム専門科目

文化人類学概説,世界地誌B,米英研究,アメリカ地域文化論E,米英文化関係論E,イギリス地域文化論E,英語学概説,英語学概説E,米英メディア文化論E,アメリカ経済論E,北米文化論,米英政治・外交論,米英政治・外交論E,英文法教授法,英語圏文化論E,Business Communication, Management Communication

教員からのメッセージ
デイヴィッド・アベ 准教授

学生の皆さんには,三つの能力の強化を通じて,世界で活躍できる人材になってほしいと願います。第一は,英語のコミュニケーション能力です。英語とは,世界で活躍するためのツール(道具)に外なりません。第二は,アカデミックな洞察力です。アメリカやイギリス,そして国際社会の変化を鋭く捉える能力は,自分の可能性を広げてくれます。第三は,日本についての知識です。日本の政治や経済,文化についての知識なしには,世界で活躍することは不可能です。私たち教員は,これらの能力を高めてもらうために,皆さんを全力で支援していきます。

ヨーロッパ圏研究プログラム

多様なヨーロッパを多面的に学び,真の国際感覚を養う

様々な価値観が共存し複雑化する現代社会。多民族で構成され社会や文化のあり方も多様なヨーロッパの理解が豊かな示唆を与えてくれます。本プログラムはヨーロッパの言語・文化・政治・経済・歴史等を多面的に学び,国際社会で活躍する国際人の養成を目指しています。

プログラムの理念・教育目標

ヨーロッパ世界とその関連諸地域について,人文社会科学の様々な研究手法を通じ認識を深めます。英語に加え欧州諸言語の実践的運用能力を伸ばしながら,環境,人権,福祉,観光といった諸分野に見るヨーロッパの現在を複眼的に把握する能力の修得を目指します。

教育内容
1年次 共通教育科目,国際学入門・同E,日本文化・同E
2-4年次 研究指導,現代ヨーロッパ社会論,ドイツ文学史,フランス文学史,ヨーロッパ・アフリカ概説等の専門教育科目,海外語学研修,派遣留学,特定の課題についての深い学びから卒業論文へ
取得可能な資格
学士 国際学
資格 中学校教諭一種免許(国語,社会,英語),高等学校教諭一種免許(国語,公民,英語),日本語教育専攻資格
プログラム内履修システム

1年次には,共通科目と学域共通科目,そして「国際学入門」を学びます。2年次には,学類の基礎科目(コース専門言語を含む)を中心に学びますが,夏休み等に短期の語学研修(英語の他にフランス語,ドイツ語,スペイン語など)への参加を強く勧めたいと思います。また,プログラム担当教員による講義形式の授業「ヨーロッパ社会特論A」「ヨーロッパ歴史特論A」「ヨーロッパ文化特論A」等の履修を通じて,地域研究への高い動機付けを目指します。

3年次には,より専門性の高い演習形式の科目「ヨーロッパ社会特論B」「ヨーロッパ歴史特論B」「ヨーロッパ文化特論B」を通じて地域研究の深化を図ります。また更に意欲のある学生には短期(半年・一年)の留学を指導していきます。本学ではヨーロッパ各国に派遣留学先として多数の大学を確保していますので,ぜひ積極的にトライしてみてください。最終学年では,卒業論文を見据えてさらにいくつかのプログラム専門科目を履修します。卒業論文については「ヨーロッパ研究演習」等で丁寧に指導していきます。

プログラムの特徴的な科目
「西洋近現代史概説」 単一の超大国ではなく,複数の中型国家が並立し独自の文化・言語を維持してきた,近代ヨーロッパの国際関係の歴史的形成過程を学びます。
「ヨーロッパ社会特論」 ドイツで書かれた現代ドイツの抱えるさまざまな問題(特に,移民問題)についての文章と文学作品を読み,ドイツ語の能力を高めると同時にドイツ語圏に対する理解を深めます。
「ヨーロッパ歴史特論B」 ヨーロッパの芸術・観光・食などのいろいろな側面について,年ごとに主題を変えながら,学生によるビデオ番組作成や架空の展覧会図録作成など,アクティブラーニング的手法を利用した学習を進めていきます。
「ヨーロッパ生活論」 外国人スタッフからヨーロッパの生活の「今」について,実体験をもとに直接学ぶことができます
「現代ヨーロッパ社会論」 三人の専任教員が担当領域とするドイツ語圏・フランス語圏・イタリア/スペイン語圏の「現在」につき,オムニバス形式で紹介していきます。
「ヨーロッパ・アフリカ概説I」 アフリカ,アフリカ人,アフリカ系人に関連した世界情勢を,主にフランス語で得られる情報を日本語,英語でも理解しながら,各地の音楽を通じて学んでいきます。
プログラム専門科目

文化人類学概説,比較文化論,世界地誌B,西洋近・現代史概説,現代ヨーロッパ社会論,ヨーロッパの宗教,美術史E,ドイツ文学史,フランス文学史,ヨーロッパ生活論E,ヨーロッパ・アフリカ概説

教員からのメッセージ
石黒 盛久 教授

資本主義,民主主義,自由主義,これらが今日われわれの生きる現代世界を支える基本的制度であることは言うまでもありません。そしてこうした制度が,近代以降のヨーロッパの生み出した制度であることは否定できません。ヨーロッパとは異なる文化的背景をもつ我々が,これらの制度を自分たちのものとして活用していくためにも,こうした制度がヨーロッパの歴史の中でいかなる意味と機能をになって発展してきたか理解することは不可欠です。それだけではなくヨーロッパは,人権,福祉,環境,多様性といった,世界の新しい問題に取り組む制度作りについても先導的役割を果たしています。そうした点においてヨーロッパは,依然極めて生産性と創造性の高い地域として今なおたくさんの「学び」を提供してくれる地域です。そうしたヨーロッパを知ることを通じて,単なる国際人ではない,国際的未来人になりませんか。

アジア・日本研究プログラム

多様なアジアと日本について深く学び,相互理解に基づく国際交流を深める

社会の諸分野で日本とアジア諸国との関係が深まり,アジアの多様性とその中における日本の位置づけを学ぶことがますます必要となっています。アジア・日本研究プログラムでは,アジアと日本についての学びを通して,国際交流や民間外交に役立つ人材を育成します。

プログラムの理念・教育目標

日本を含むアジア諸地域について,人文社会科学の様々なアプローチを用いて分析します。他の地域との比較から,俯瞰的に日本やアジアの文化・社会を考察し,専門知識に裏打ちされた自らの施行を論理的に,正確かつ高度な外国語を使って表現する能力の修得を目指します。

教育内容
1年次 共通教育科目,国際学入門・同E,日本文化・同E
2-4年次 研究指導,現代中国論,アジア経済史,日本の思想と宗教,日本史概説等の専門教育科目,海外語学研修,派遣留学,特定の課題についての深い学びから卒業論文へ
取得可能な資格
学士 国際学
資格 中学校教諭一種免許(国語,社会,英語),高等学校教諭一種免許(国語,公民,英語),日本語教育専攻資格
プログラム内履修システム

1年次の前・後期には学類共通の専門基礎科目である「国際学入門」「日本文化」(英語で開講されるE科目を含む)を履修し,2年次以降に専門科目を学ぶうえで必要となる素養を身につけます。2年進学時には複数のプログラムを横断的に学び,英語をはじめ外国語の運用能力を向上させながら,「東アジア国際交流史」や「日本史概説」といった専門教育科目,さらに「研究指導」を履修することにより,日本やアジア諸地域の社会や文化についての知識の幅を広げます。

3年進学時にアジア・日本研究プログラムを主専攻とした場合には,さらなる専門教育科目の履修を通じて各分野についての見識を深めると共に,各教員のゼミに所属することによって,学術的な作法に基づいて自身の関心がある問題を探求し,論文のなかで取り扱う方法を身につけます。卒業論文では,こうした学びの成果として当該問題について理論的・実証的な考察を行うことにより,アジア・日本研究プログラムでの学習を完結します。

なお海外語学研修と短期海外留学のプログラムは,本プログラムの特定の科目に読み替え可能です。

プログラムの特徴的な科目
「日本史概説」 日本の歴史・文化について基礎的な知識を獲得し,それを深く理解するための視点と方法を身につける。
「東アジア国際交流史」 北陸をモデルに,地域と世界の密接な繋がり考える東アジア国際交流史。国家の枠にとらわれない歴史の見方や発想,及び現代日本人として必要なアジアへの視点・知識の獲得を目指す。
「現代中国論A・B」 日本との関係が深い中国について,主に19世紀中葉から現代に至るまでの歴史(政治史)を学び,この国に関する基礎的な知識や教養を身につける。
プログラム専門科目

文化人類学概説,文化人類学講義,地理学概論A,世界地誌A,日本の思想と宗教,日本史概説,日本史概論,日本経済論,日本民俗文化論E,日本の文学,日本の古典文学,日本文化体験,日本の近代文学,日本の現代文学,日本思想史,東アジア史概説,現代中国論,現代中国論E,アジア経済史,東アジア国際交流史,東南アジア研究,南アジア文化論,南アジア地域論,仏教文化論,比較文化学概説,イスラーム社会と文化,現代中国文化論,韓国・北朝鮮研究,アジアのマイノリティと人権,中国の文化と社会E,東アジア社会と教育

教員からのメッセージ
弁納 才一 教授

日本はこれまで「脱亜」(脱アジア)を掲げて近代化を進めてきましたが,アジアが世界経済の中心となっている現在,今やアジアを知ることなしには発展や生存を維持することが困難になっています。これからは日本を含むアジアの歴史を見直すと同時に,多様なアジアに学ぶことが重要であり,日本のアジアにおける位置を再認識する必要があります。