金沢大学人間社会学域国際学類金沢大学人間社会学域国際学類

国際学類について

教員紹介

国際社会コース

中野 涼子 教授

国際社会コース
中野 涼子( NAKANO Ryoko )

研究領域

国際関係論、国際関係思想

中野 涼子Academia

研究内容やゼミの内容

 自分の考えがくつがえることってありませんか? 私にはあります。堅苦しいと思っていた人が意外に面白かった、あるいは、難しいと思っていた学問が自分の得意科目になった、などという経験です。こうした驚きを体験するのは、事柄の部分的な理解が変化したためです。別の側面を知ったり、ほかの角度から見たりすることで、最初の印象が変わるのです。

 国際社会の諸問題についても、見方や立場を変えることで、感じ方が変わることがあります。非合理と思われる国家の行動も、その政治、経済、社会的背景を知ることで、共感できる部分が出てくるかもしれません。現代の国際社会は、グローバル化の動きの中でますます多極的、多元的になったため、複眼的に物事を見る能力がこれまで以上に求められています。

 ゼミでは、そうした能力を養うために国際関係の理論を習得しながら、特に、アジア太平洋や日本に関係する国際社会の様々な問題について理解を深めます。国際、地域、日本という3つのレベルにおいて、以下の問いを一緒に考えましょう。

  1. 国際社会―現在ある国際社会の制度や秩序はどのように構築され、それはどう変容してきたのか。
  2. アジア太平洋地域―現在の国際システムの中で本地域の国際関係はどのように形成され、その特徴はどう説明できるか。
  3. 日本の視点―日本にとって、現代の国際秩序はどう映るのか。どのような役割を果たそうとしているのか。

研究の内容

 誰にとっての国際秩序か、を中心的な問いとして、これまで研究を行ってきました。単著 Beyond the Western Liberal Order (Palgrave, 2013年) では、日本の植民政策学者として国際政治経済学の礎を築いた矢内原忠雄の国際関係思想を通して、20世紀前半の西欧帝国主義・自由主義に対するアジアの地域的・国家的反発および共感について論じました。続いて、現代の国際秩序における規範・ルールに対する東アジアの共鳴・競合の動きを思想的・実証的に考察しました。これらの研究は、国際秩序と国内秩序の連関性を指摘するものです。現在は、ここで得た知見をさらに発展させるために、現代の東アジア国際政治の観点からユネスコ遺産事業の政治的構造とその問題点を明らかにしようとしています。

出版物 / Publication

  • Beyond the Western Liberal Order: Yanaihara Tadao and Empire as Society (Palgrave Macmillan, 2013). http://us.macmillan.com/beyondthewesternliberalorder/RyokoNakano
  • "Sino-Japanese Territorial Dispute and the Perception of Threat and Power Transition", The Pacific Review, March 2015 (Online): available at:
    http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/09512748.2015.1013493#abstract
  • "Nostalgic Asianism in Postwar Japan: The TV Drama Kaiketsu Harimau", Electronic Journal of Contemporary Japanese Studies, Vol. 14, No. 1. March 2014: available at:
    http://www.japanesestudies.org.uk/ejcjs/vol14/iss1/nakano.html
  • "Global Norm Diffusion in East Asia: How China and Japan Implement the Responsibility to Protect” (co-written with Jochen Prantl), International Relations, Vol. 25, No. 2. June 2011, pp. 204-223.
  • "'Pre-History' of International Relations in Japan: Yanaihara Tadao’s Dual Perspective of Empire", Millennium: Journal of International Studies. Vol. 35, No. 2. March 2007: pp. 301-319.
  • “Uncovering Shokumin: Yanaihara Tadao’s Concept of Global Civil Society". Social Science Japan Journal. Vol. 9, No. 2. October 2006, pp. 187-202.
  • 「シンガポールにおける日本占領の記憶」 (『記憶の共有を目指して』行路社, 2015年)
  1. 国際学類についてAbout
  2. 学類長あいさつ
  3. 理念・目標
  4. 教育の特色
  5. 教員紹介