Division of International Studies, Human and Socio-Environmental StudiesKanazawa University

専攻の研究者: 太田 亨(あきら),教授

太田 亨教授は,日本語教育学・日本文化研究コースのメンバーで,専門は対照研究と日本語教育研究です。

学位:
文学修士(東京外国語大学)

どんな専門分野ですか?

現在の私の専門は,「対照研究」と「日本語教育」です。ですが,私のアカデミック背景は,スペイン語学から日本語学,日本語教育,ポルトガル語,専門日本語教育へと広がってきました。これらは一見ばらばらに見えるかも知れませんが,外国語としての言語と外国語教育を専門としてきたことで,人がなぜ外国語を習得できるようになるのか,その謎に少しでも触れられてきたような気がしています。

Q2: 特にどのような研究をしてきましたか?

日本語とスペイン語の対照研究としては,指示語と直示の問題を扱ってきました。また,日本語とポルトガル語の対照研究では,動詞のテンスとアスペクトの問題を扱ってきました。さらに日本語教育の分野では,1)ビデオ会議による異文化間ディスカッションの方法研究,2)ビジネス日本語教育,そして3)理工系留学生が日本の教育システムの中で数学や物理の教育を受けるために必要な「論理的思考力」の問題を研究してきました。現在は,日本語教育と数学教育が一緒になって「論理」の問題をどのように扱えるか,実証を交えた研究を行なっています。

  

毎年,韓国の大学で「論理」についての講義を行っています

Q3: 対照研究と日本語教育はどのように結びつくのですか?

この問題は対照研究の歴史そのものと言っても過言ではありません。私の元々の専門はスペイン語でしたから,自らが外国語学習者としての経験を持っています。大学院に入るにあたって外国語としての日本語,そして日本語教育へと目覚めたわけで,はじめは自分の母語である日本語を客観的に見ることに苦労しました。そのような経験から言って,対照研究と外国語としての日本語教育というのは,共に歩んでいく必要のある研究分野だと思います。

  

スペインやポルトガルの協定大学で

Q4: 金沢大学の大学院ではどのような学生に期待しますか?

日本語を始め世界の言語を客観的に見つめる目を養ってほしいですね。そのためにも,まずは自らの母語を学び直してほしいと思います。その上で,日本人ならば英語以外の外国語をさらにもう1言語を学び,留学生の場合は日本語を自分の母語と対比しながら,どのような仕組みになっているのかが説明できるようになってほしいと思います。

主な業績

著書: 

1.「各国の日本語教育-スペイン」,『新版日本語教育事典』,p.1021,大修館書店,2005(単著:太田亨)

2. 『日韓プログラム予備教育における「日韓共同(協働)教育」を目指す実践的研究・(科学研究費補助金)研究成果報告書』,金沢大学国際機構留学生センター,189頁,2015(単著:太田亨)

論文: 

3.「対照研究と日本語教育のより良い関係を目指して−日本語・ポルトガル語−」,『日本語と外国語との対照研究Ⅹ 対照研究と日本語教育』,国立国語研究所 編,くろしお出版,2002:49-63(単著:太田亨)

4. 「スペイン語新文法・第46章・原因・目的・連結構文」(要約),『『スペイン語記述文法(1999)』『スペイン語新文法(2009)』『スペイン語新文法 音声学・音韻論(2011)』章別和文要約6』(Lingüística Hispánica, Anexo 6),pp.385-404,関西スペイン語学研究会,2015

5. 「「ビジネス日本語」の変遷と今後」,『専門日本語教育研究』,第17号,pp.3-6,単著:太田亨,寄稿,2015

6. 「学部段階の「数学」講義聴解力を伸ばすための総合的ビデオ教材試作」,『2017年度日本語教育学会春季大会予稿集』,毛利貴美・太田亨・佐藤尚子・深川美帆,pp.420-425,2017.5.21,早稲田大学,2017

7. 「学部段階の日本語教育と理工系専門教育との効果的な連携 -数学教育・物理教育とのコラボ授業事例から-」,『2017年度日本語教育学会秋季大会予稿集』,2017年11月25日,朱鷺メッセ(新潟市),太田亨・佐藤尚子・菊池和徳・藤田清士・村岡貴子,pp.53-62,2017

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