Division of International Studies, Human and Socio-Environmental StudiesKanazawa University

専攻の研究者:  深澤 のぞみ,博士(学術)

深澤のぞみ教授は,日本語教育学・日本文化研究コースのメンバーで,日本語教育学や応用言語学の分野を中心に研究を進めています。

学位:
博士(学術)(金沢大学)

学位論文:
「日本語の会話における割り込み発話に関する研究 -日本語母語話者と日本語学習者の言語行動と非言語行動の観察から-」

Q1: どんな専門分野ですか?

私は大きく分けて主に2つの専門分野を持っています。日本語教育学と応用言語研究,特に会話の分析です。私は自分自身が外国人対象の日本語教師ですが,教える経験の中からは,多くの疑問や,どうしたら学習者がもっと必要としていることを効率的に教えることができるのかなどの課題が出てきます。これらを少しずつ解決しようとしてきたことが,結果的に自分の強み,つまり専門分野となりました。また日本における外国人の受け入れや,外国籍の子どもたちへの支援にも関心を持っています。

Q2: 日本語教育学の研究について,どのようなことを行っていますか?

日本語教育学の中でも,専門別の日本語教授法や教材開発を得意としています。最初に開発したのは,科学技術日本語の教科書でした。工学分野の留学生に日本語教育を担当したのがきっかけで,工学系の留学生のために必要な科学技術日本語を抽出し,教材化しました。ニーズ調査をした上で,必要な日本語の語彙や表現,使われる場面などを調査分析しながら,効果的な教材を開発していくという作業は,基礎研究の結果が実用的な教材開発につながるという喜びを感じることができました。その後も,外国人留学生のためのコンピューターの教材や,アカデミックプレゼンテーション入門の教材などを開発してきました。現在は,新しい時代に適合した21世紀スキルを取り込んだ大学留学生用の教材(『21世紀のカレッジジャパニーズ』を開発し刊行しました。

   

これまでに開発した教科書類

Q3: 会話の研究は,どのようなことを行っていますか?

私の博士論文のテーマは,日本語母語話者と非母語話者の会話を扱った内容で,おもに会話への割り込みが,日本語の場合,会話への積極的な関与を表す現象となっていること,それが非母語話者との会話の際にも様々な形で現れていることなどを明らかにしました。その後,会話ではなく,いわゆる「独話」の方に関心が移り,現在は日本語のパブリックスピーキングに関する研究を続けています。現在は,パブリックスピーキングにおいて,「説得」がどのように成功するのかを,スピーチの内容そのもの,さらには非言語的な要素も含んだマルチモーダル分析を行っているところです。この研究については,科学研究費補助金を継続して獲得してきています。
 平成28年度科学研究費助成金基盤研究(C)「グローバル化時代のパブリックスピーキングにおける「説得」の諸相」(研究代表者)
 平成25年度科学研究費補助金基盤研究(C)「グローバル化時代の自己表現のための日本語パブリックスピーキングに関する研究」(研究代表者)
 平成22年度科学研究費補助金基盤研究(C)「日本語パブリックスピーキングの教授法確立を目指した総合的研究」(研究代表者)

  

ロンドン大学,エジンバラ大学,信州大学でワークショップを担当しました

Q4: 金沢大学の大学院ではどのような学生に期待しますか?

私の研究室には,日本語教師を目指す若い学生もいれば外国人留学生もいるし,すでに日本語教師として活躍している社会人学生もいます。日本語を教える中で課題を見つけ,それを研究テーマとして掘り下げてもらいたいと思っています。日本語教師という仕事は,ある程度技術を覚えると,ルーティンワークのようにすることもできなくはありませんが,本当は1つとして同じ現場(=教室)はないはずです。必ず何か疑問があり,そこに研究や新たな開発の「タネ」があるはずです。それを見つけて,深く考えることのできる学生に入学してもらうことを期待しています。

主な業績

論文
“日本語パブリックスピーキングにおける説得の特徴――書評ゲーム「ビブリオバトル」の観察から――,深澤のぞみ,山路奈保子,須藤英紹,日本コミュニケーション研究 47(1) 2018年

“日本語教育におけるパブリックスピーキング −21世紀に必要な学びの1つとして−,深澤 のぞみ,金沢大学留学生センター紀要 2017年3月

日本語式辞スピーチの構成要素と展開パターン―日本語パブリックスピーキングの一ジャンルの特徴として―,深澤のぞみ・ヒルマン小林恭子,専門日本語教育研究 (14) pp.27-34-34 2012年12月  

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