教員紹介

日本・日本語教育コース / 上田 長生 准教授

上田 長生 准教授
日本・日本語教育コース
上田 長生 ( UEDA Hisao )

研究領域
日本近世史

 私は、日本近世史、つまり江戸時代の研究をしています。中でも、これまで特に取り組んできたのは、江戸時代の人々が天皇をどのように見ていたのか、天皇・朝廷と社会がどんな関係を持っていたのかという天皇観・天皇像の研究です。具体的には、天皇陵(天皇のお墓)をはじめとする陵墓を研究対象としてきました。普通、陵墓といえば、古代史や考古学の問題かと思われますが、私は、陵墓が幕末維新期に探索・修復され、新たな祭祀が行われる様相と、それが陵墓周辺の村・町の人々に与えた影響を考察しています。

 私がこうしたテーマで歴史学を学ぶようになった理由は、主に2つあります。1つは、大学で学ぶ中で、それまで当たり前のことと思っていた「日本文化」や「伝統」が、古いものを基礎にしながらも、近代に作り直されたものであると知ったことです。私の場合、特にそれは天皇の問題でした。現代においても、天皇(制)は、日本の政治・社会を考える上で重要なファクターであると思います。天皇の江戸時代におけるあり方と、近代化過程での変化を明らかにしたいと考えています。

 2つ目は、古文書を読む楽しさの虜になったことです。幸いなことに、学部学生の頃から、関西各地の農村部に残っている膨大な古文書の調査に参加する機会が数多くありました。そこで、1点1点の古文書に込められた過去の人々の声・想いに触れ、未知の古文書から豊かな歴史像を描くことができる体験を重ねたのです。実は、江戸時代は世界的に見ても、最も多くの文書が書き残された時代です。天下人の手紙から庶民の領収書まで、多様な古文書からは実に豊かな情報を読み取ることができます。それは、汲めども尽きることのない過去からの贈り物です。古文書1点1点に新しい発見があり、私たち現代人に様々な問いかけをしてくれます。そんな果てしない楽しみに出会い、学び続けられることは幸せだと思っています。

 現在は上で述べた陵墓のほか、これまでの仕事で関わった江戸時代の大坂周辺地域の歴史や、縁あって赴任した、ここ金沢・加賀藩の歴史研究にも取り組んでいます。

 では、以上のような日本史を学ぶ私が国際学類で何を伝えられるでしょうか。私は、グローバル化する現代の国際社会で、お互いに豊かで友好的な関係を育てていくには、それぞれの国・地域・民族の言語・歴史・文化に対する深い理解が不可欠だと考えています。何かとせっかちな世の中ですが、学生の皆さんには、時代に遅れないように、でも、時には立ち止まって長く広い歴史的な視野でものごとを考える力を持ってほしいと思っています。

 そのため卒業論文の指導では、受講生の関心や歴史学の基礎の習得度に応じて、柔軟に対応しています。現在は、受講生の課題に沿った論文の精読・討論を行い、それぞれの課題の明確化を行い、卒業論文の完成を目指す形をとっています。習熟度に応じて、今後は他学類でのゼミと合同で研究を進めたり、学外での見学なども行っていく予定です。

 どのような関心・問題からでも、日本を、そして世界を歴史的に捉えてみたいと考える学生の皆さんを歓迎します。