教員紹介

ヨーロッパコース / 石黒 盛久 教授

石黒 盛久 教授
ヨーロッパコース
石黒 盛久 ( ISHIGURO Morihisa )

研究領域
16世紀イタリア文化史  近世ヨーロッパ思想史 マキアヴェッリの政治思想

【研究内容やゼミの内容】

 私個人の研究テーマとしては、15-17世紀のイタリアを中心とした南ヨーロッパにおける、政治と文化のつながりを研究しています。20世紀のフランスの歴史学者ブローデルは短いタイム・スパン(短期持続)で変化する歴史の典型として政治史を、長いタイム・スパン(長期持続)で展開する歴史の典型として文化を含めた生活の歴史をあげましたが、そのどちらもが人間の生活である以上、両者が無関係な訳ではありません。政治と文化の接触面としての政治思想に焦点をあてながら、時にこの時代の精華としての視覚芸術などをも考察の素材としつつ、16世紀イタリア・ルネサンス文明を重層的に把握しようと考えています。

 私がイタリア、スペインを主な研究領域にしているため、これまで指導したゼミ生の卒業論文も、スペイン、イタリア、フランスといったラテン系諸国の文化や生活を素材にした者が中心となっています。具体的には今世紀初頭のスペイン・カタロニア地方における複数言語の共存の問題や、フランスにおける子育て支援の問題、現代イタリアにおける都市の再生と伝統家屋の修復の問題など、多様な問題に取り組んでいます。金沢大学で第二外国語として履修できる語学が専らスペイン語、フランス語であるため、これらの国々の研究をする人が多いですが、イタリアはもちろんポルトガルやギリシアなどそれ以外の地域の社会や文化にも積極的に目を向けて欲しいと考えています。こうした射程の延長上で中南米とヨーロッパの関わりに関心を持つ人も歓迎します。

 私自身は近世初頭の歴史研究をしていますが、これまでのゼミ生の卒論題目からもわかる通り、なるべく時代や地域を限定せず(といっても私の指導できる限界というものもありますが)学生さんの要望と相談しながら、それぞれの研究テーマを決めています。古くから都市文明の発達した地中海世界の文化は、今でも人と人が直接顔を見合わせて交渉し合いながら、自分たちでルールを作り出していく文化です。その点与えられたルールの中で最大限の合理性を追求する、日本人の目から見ると非能率な点や不合理な点も少なくありません。しかしこのルール作りが下手という面が、国際社会に生きる日本人の弱点であることを考えれば、地中海世界の文化と生活は、今日の日本人にとり学ぶべき事柄をたくさん提供してくれているように思います。

【著作】

石黒盛久著『マキアヴェッリとルネサンス国家-言説・祝祭・権力』(風行社・2009年) 石黒盛久編著『戦略論体系⑬マキアヴェッリ』(芙蓉書房・2011年)
A・バルベーロ著/石黒盛久訳『近世ヨーロッパ軍事史』(論創社・2014年)など